第10章 本当のワタシ
『みなさん…黙っていてすみませんでした。
先程、火影様が話した事が全てです。
中忍試験が無事終わるまでは…機密にして頂けると助かります…。』
そう言うとマイは、先日カカシに見せたように、口布を下げ傷跡をとり素顔で話始めた。
『私は…水流園として生まれ、水流園として暗部に身をおいてきました。
私が生きている事が他里へ漏れれば、少なからず木ノ葉に迷惑がかかると…
私はそれが水流園の運命であると信じてきました…。
でも…やっぱり……。』
マイは目頭が熱くなるのを堪え
続ける。
『水流園という名前を…堂々と背負って生きていきたいと……思ってしまいました。
我が儘を承知の上で…
水流園は木ノ葉の忍だと…水流園は今も木ノ葉の忍なんだと胸を張って生きても良いでしょうか……』
マイは言い終えると…、受け入れてもらえるかと不安な気持ちを押さえ込むように、うつむき目をきつく閉じる。
パチパチパチパチ…
目の前にいるカカシが、マイに優しい笑みで拍手を送ると…
次第に拍手の音は大きくなり…
当たり前だ!
辛かったね…
すげぇよ!伝説の一族かよ!
木ノ葉の水神姫ってマイさんか!!!!
大丈夫ですよ!!いつでも守りますから!!
木ノ葉に尽くしてくれた英雄じゃないか!
と、皆口々に歓喜の声をあげた。
その様子を驚くように目を見開いて見ていたマイの肩に火影が優しく手を置く。
すると、糸が切れたように泣き出したマイは、
『ありがと…ありがと…う…みんな…』
と、小さい声で何度も何度も呟くのだった。
――――――……
中忍試験が終わるまでは、今まで通り過ごすことになったマイだが、素顔を知った者達から、熱烈なアピールを受けることになり、カカシや紅、アンコからは
「正体バラしても…口布着用必須!」
と、釘をさされたのだった…。