第1章 出会いは病院で
千切のスマホが小さく震えた。
その音に、蜂楽と潔が同時に顔を上げる。
「来た?」
「桜沢さん?」
千切は無言で画面を開き、届いたメッセージを読み始めた。読み進めるにつれて、彼の表情がほんの少しだけ緩む。
文面にはこう書かれていた。
『ご丁寧にありがとうございます。 皆さんには本当に助けていただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。 お茶のお誘いもありがたいのですが、今はまだ体調も万全ではなく、ご迷惑をおかけしたばかりですので、遠慮させていただければと思います。 もし可能でしたら、タクシー代の振込先を教えていただけますか? どうしても気になってしまって……。 よろしくお願いいたします』
「……断られた」
ぽつりと呟いた千切の声に、蜂楽が身を乗り出す。
「えっ、マジで!?なんて?」
「“お茶は遠慮します”って。体調がまだ万全じゃないからって」
「うわ〜、それってやんわり拒否ってやつじゃん!」
蜂楽が大げさに肩を落とすと、潔も苦笑しながら頷いた。
「でも、ちゃんとお礼の気持ちは伝わってるみたいだし、連絡くれただけでもすごいよな」
「……うん、そうだな」
千切はそう言いながら、スマホを親指で軽く弾き、返信画面を開いた。少しだけ考え込んだあと、静かに文字を打ち始める。