第24章 明日美の後押し
明日美は星歌の迷う表情を見て、そっと続ける。
「告白しようとか、思わないの?」
「そんなの!恥ずかしいよ…!」
「じゃあ、今のままでいいの?」
「それは…。でも…」
今のままでも、緒方さんと一緒にいられるなら…でも、もっと…。複雑な思いが胸を締めつける。
明日美は少し間を置き、真剣な目で言う。
「私さ、プロ棋士になれるかどうか分かんないんだよね。この前も院生手合いでポカしちゃってさ…。でも、諦めたら絶対に後悔するから、院生でいられるうちは頑張りたいんだ。だから、星歌が告白しないで後悔することになったら、イヤだなって思うよ」
「でも、告白なんてどうやって…。そんな…言えないよ…」
「そうだ!バレンタインに告白しようよ! 星歌、絶対いけるって!チョコ渡して、気持ち伝えるの、めっちゃロマンチック!」
明日美は目を輝かせ、ノリノリで続ける。
「ほら、どんなチョコにする?ハート型?それとも手作り?私も手伝うよ!」
勢いよくまくしたて、明日美はニヤリと笑う。
「そういえば星歌、緒方先生のこと『緒方さん』って呼んでるんだ?」
「えっ! 先生って呼ばなきゃダメなのに…動揺してて、間違えちゃった…!」
星歌は頬を真っ赤にして慌てる。恥ずかしさでジュースをぐいっと飲む。
「やっぱり恋バナたくさんあるんでしょ? 聞かせてよ!ゴッホ展以外にどこか行った?」
「え、うーんと…美術館に何回か…。全部で4回かな…」
「美術館に4回も? もうそれ、付き合ってるのと同じじゃん!何か甘いこと言われてないの?」
明日美が目をキラキラさせながら聞くと、星歌は思わず赤面する。「キミと出かけられて楽しかった」と、車内での緒方の言葉が頭をよぎり、目を逸らす。
「あ! 何か言われたんだ!」
「何にもないよ…!」
バレバレの反応と説得力のない否定をする星歌の頭の中に、緒方の言葉が繰り返し響いていた。