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白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第18章 噂の真相


「ごゆっくりどうぞ」
 星歌がいつものように穏やかな笑顔で言い、緒方の前にカップを置く。
「ありがとう」 
 緒方は呟き、視線をカップに落とすが、心は乱れたままだ。やがて、雑談っぽくさりげなく聞いてみるか…と思いきって口を開いた。
「一柳先生は、よくここに来るのか?」   
 緒方は平静を装いつつ、星歌の反応をうかがっている。
 星歌はカップを拭きながら、少し考えてから答える。
「うーん、たまにですね。伯父はコーヒーより緑茶が好きですし、何より忙しいみたいですから」
 伯父…?と、緒方の思考が一瞬止まる。
「伯父って…一柳先生が?」
 思わず聞き返す緒方に、星歌は目を丸くする。
「え、緒方先生、ご存じなかったですか? 白川先生はご存じだったから、てっきり緒方先生も…と思ってました」     
 星歌は軽く笑い、話を続ける。
「母の兄です。東京で一人暮らしを始めてからは保護者代わりです。今日、一緒に三者面談に行ったら伯父のお喋りが多くて困りましたけど、いろいろお世話になってます」
 伯父…保護者代わり…と、緒方の胸に安堵の波が広がる。そうか、だからあんなに親しげだったのかと納得するとともに、真柴の噂が誤解だと分かって肩の力が抜けていく。その後すぐに、白川は知っていて言わなかったんだろ?と、緒方の胸にわずかな苛立ちが湧く。アノヤロウ、忠告するならその話も出せよ…と、軽い不信感が芽生えるが、今はそんなことはどうでもよかった。
「そっか、知らなかったな」
 緒方は笑いながら返す。内心では、志水くんはパパ活なんてするような子ではなかったという安堵とともに、オレはどうしてこの子を少しでも疑ったんだ…という罪悪感が並走している。
「苗字が同じなら分かりやいんですけどね、一柳って珍しいですから」
 いつも通りの星歌のピュアな笑顔を向けられ、緒方は自分の心があたたまっていくのを実感していた。
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