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白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第17章 信じがたい噂と白川の忠告


 街はクリスマスムードに染まりはじめ、棋院内の談話室のテーブルにはミニツリーがさりげなく置かれている。緒方は寄稿のための資料を手に談話室に入り、ソファに腰を下ろした。談話室の隅では、真柴と数人の低段棋士たちが雑談に興じている。アイツ、相変わらず騒がしいなと、緒方は真柴の軽薄な笑い声に眉をひそめる。
「パパ活だって? しかも相手が一柳先生?」
「車に2人で乗ってたらしいよ」
 一柳棋聖の噂話が飛び交っている。おいおい、そんなこと話していていいのか…と、緒方は呆れつつ聞き流そうとするが、真柴の次の言葉に耳が止まる。
「カフェでバイトしながらタイトルホルダー狙ってたんだな?そりゃ初段のオレには冷たいわけだ」
 カフェでのバイト…?まさか、志水くん…?そんな思いが浮かんだ緒方は、彼らの話に聞き耳を立てる。
「高校生なのに一人暮らしらしいから、金が必要なんじゃね?」
「バイトがない日は制服でパパ活してるって噂だぞ?」
 あの子も一人暮らしだ、やはりこの噂話は志水くんのことか…?制服でパパ活って、そんなはずはないだろう…と思いつつ、夜道で制服姿の星歌と遭遇したことが頭をよぎる。いや、あのときは「オープンキャンパスに行った」と言っていた。志水くんは、そんな子ではない。
緒方は書類を握りしめ、視線を落とす。真柴は振られた腹いせにいい加減なことを言っているだけだ。そもそも一柳先生と志水くんに客と店員以上の接点なんかないだろう…そう考えてから緒方は、あの子は一柳先生の紹介で雇われることになったと思いだしてハッとする。いや、ただの知り合いだろ?親子の年齢差だ、知り合いの娘とかのはずだと自分に言い聞かせる。
「帰国子女だっていうもんな~おとなしそうに見えて肉食系かも」
「パパ活って意外とああいう子がするみたいだしな」
 彼らの言葉が緒方の胸に突き刺さる。こんな低俗な噂を信じるわけじゃないが、このモヤモヤした感情は何だ…?緒方は疑念を完全には払拭できずにいた。
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