第14章 次回の約束
緒方と白川はいつものようにカフェを訪れる。星歌は休みのようで姿が見えない。2人で出かけてから、次にカフェで会ったらどんな顔が見られるかと緒方は期待していたが、今日はいないのか…と少し残念な気持ちになる。その隣で白川が「志水くんは休みかな?」と聞くと、マスターが黙って頷いている。コイツ、どうして彼女が休みなのか聞いたんだ…?緒方はわずかに警戒心を高める。だが白川はそんな緒方の気持ちとは違った言葉を口にする。
「志水くん休みなのか…。ゴッホが好きだって言うから、上野で印象派展やってるよって教えてあげようと思ったのにな」
「印象派展?お前がそんなこと言うのは意外だな」
「オレは緒方と違って結構アーティスティックなんだよ」
白川の言葉に少しムカつきはしたが、いい情報が得られた、次にあの子を連れていくのは上野の印象派展だな…と緒方の心は決まる。
「難しいことはわからないが、オレだって芸術は嫌いじゃない」
緒方は本心を悟られないよう、努めて冷静に返す。
「それは失礼」
そう言って白川は笑う。
「それにしても、今日も機嫌がよさそうだな?どうした?」
「別に何もねえよ、気のせいだろ?」
結局また顔に出ているのか…?と緒方は少しの焦りを覚える。
「今日は勝ったわけでもないし、志水くんもいないのにゴキゲンって謎すぎるだろ?」
「何言っている、お前は…。別にオレはいつも通りだし、志水くんは何も関係ない」
「そうか?この頃カフェではいつも楽しそうにしてたからさ」
「志水くんがバイトを始めてから、ここの雰囲気が変わったんだろ」
「言われてみれば確かにそうだな、明るくなったかもな」
上手くごまかせたか…?と緒方は安心する。
あとでスケジュールを確認したら、志水くんに連絡をしよう。きっと喜んでくれるに違いない。どんな反応が返ってくるか、想像するだけで楽しくなる。何より自分自身が彼女と一緒に出かけたいと思っている。この気持ちを何と呼ぶのか、緒方はまだ気づかずにいる。