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白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第8章 少しずつあたたまる2人の心


 パジャマ姿の星歌は自室の机に向かい、授業の予習復習をしつつ学校のノートをまとめている。海王高校での勉強は思っていたよりもハードではあったが、やり甲斐もある、星歌はそう思っている。進学校であるため、星歌のようにバイトをする生徒は少ない。転校生でありバイトもしているということで、学校では少し浮いたような存在になっていることを自覚している。だからこそ余計に、バイトのせいで成績を落とすわけにはいかないと星歌は毎日の自宅学習には力を入れている。
 いつものように星歌は3時間ほど熱心に勉強に取り組んだ。そして、明日の時間割を確認して教科書とノートを鞄に収めながら今日のカフェでの出来事を振り返る。芦原さん、今日は普通だったな。いつもみたいな軽口がなくて安心だったな、いつもあんな感じならいいのにな、と芦原の落ち着いた態度を思いだしていた。もしかして何か言ってくれたのかな? と、星歌の頭には緒方の顔が浮かぶ。彼が自分を気遣って芦原をたしなめたかもしれないという想像が、星歌の胸をあたたかくしている。緒方先生ってクールに見えて意外と優しいんだよね、幽玄の間にも連れていってくれたし…。あのとき、すごく嬉しかったな。でも…緒方先生は大人だから優しいだけだよね…と星歌は自らを戒めるように思った。
 そういえば白川先生も言っていたけれど、緒方先生って結構顔に出るんだよね。対局に勝ったときのゴキゲンな顔、少しかわいいかも…。こんなこと言ったら、またムッとしちゃうかな…?あんなに顔に出てるのに、全然出てないと思っているのがまたおもしろいよね!そんなことをぼんやりと考えていると、心に光が灯るようだと星歌は気づく。
 昼の残暑は厳しいが、ここ数日の夜は涼しさが増してきている。少しずつ秋が近づいてきている頃、星歌の心には確かなぬくもりが残っていた。
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