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白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第7章 芦原の些細な気づき


 緒方と白川は対局後にカフェを訪れる。緒方はカウンターの端に腰を下ろし、芦原の軽口と星歌の戸惑った表情を思いだしながらオリジナルブレンドコーヒーを注文後、星歌に尋ねる。
「芦原は、今日は来てないのか?」
「今日はいらっしゃってないです」
 カップを準備しながら答える星歌の顔には、かすかな安堵の色が浮かんでいるようだ。
「いつも弟弟子が強引で悪いな。必要なら一言言っておくぞ」 
 やはり彼女は、芦原みたいなノリは苦手なんだろうな…そう思った緒方が言う。
「いえ、大丈夫です」
 星歌は笑顔で返すが、目元に一瞬の迷いが見える。
「いつも嫌がっているのが顔に出てるぞ?」
 思わず緒方は軽く茶化す。
「え、そんなことありません!緒方先生ほど顔に出ませんよ」
「志水くん、鋭いね!緒方は本当に分かりやすいよね!」
 便乗して笑う白川に、緒方はムッとしている。
「オレはそんなに顔に出るか?」
「そうですね、かなり分かりやすいです、対局後は特に。いい碁を打てたんだろうなってのと調子悪かったのかなってのが、一目瞭然です」
「そうそう、ポーカーフェイス気取ってるけど、バレバレだよ」
 白川がたたみかける。
 棋士でない子にまでバレるのか…と内心で苦笑いの緒方だが、星歌の笑顔を見て心が軽くなるのを実感する。
 そのとき、カフェのガラス扉が開き、芦原が来店する。星歌と白川が緒方を笑う様子を目撃して、オレにはあんな風に笑ってくれない…と、芦原の胸に小さな棘が刺さった。
「星歌ちゃん、今日もかわいいね!アイスコーヒー頼むよ!」
 それでも芦原は笑顔で平静を装い、いつものように注文をした。
「いらっしゃいませ。アイスコーヒーですね、かしこまりました」
 穏やかに応じる星歌の表情に、わずかな戸惑いが覗くのを緒方は見逃さない。
「芦原くん、今日も元気だな」
 白川は笑うが、星歌の笑顔が芦原の軽口によって曇るのが緒方にとっては不満だった。
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