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白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第34章 それぞれの報告


 都内の居酒屋で緒方は白川を待つ。白川には星歌のことをきちんと報告しておかないとな…と、緒方は考えていた。
 扉がガラガラと開き、白川の姿が見える。
「緒方、まだ約束の5分前なのに、ずいぶん早いな?それに、お前から誘ってくれるなんて珍しいしさ、十段戦の気ばらしか?」
 白川は笑いながら緒方の隣に座る。      
 
 注文したビールやつまみがテーブルに揃う。
「緒方の十段戦の勝利を祈って、乾杯」
 白川は勢いよくビールを飲む。酔う前に話すか…と、緒方は切りだした。
「白川、大事な話がある」
「何だ?ずいぶんあらたまってるな?」
「オレ、志水くんと付き合い始めた」
 緒方ははっきりと言う。白川の動きは止まり、目は大きく見開かれる。
「は?何言ってるんだ?高校生だぞ、緒方」   
 眉をひそめて焼き鳥を置く。やっぱり反対か…と、緒方は白川の以前の反応を思いだす。
「女には不自由してないだろ?いい子だとは思うけど、なんであの子なんだ?」
「一柳先生には許可を取ってある」
「…お前、そんなに本気なのか…」
「星歌はオレが守る。十段だって獲るし、誰にも何も言わせねえよ」 
「まァ、志水くん、いい子だもんな。お前がそこまで本気なら、しょうがない。…ちゃんと大事にしろよ」
 白川は諦めたように軽く笑ってグラスを掲げる。認めてくれた…と、緒方はホッとする。
「それにしても、いつの間に一柳先生に話してたんだよ?全然知らなかったな」
「この前の対局の昼休憩にな」
「それに、いつの間にか「星歌」なんて呼んじゃってさ」
「付き合っているんだから、別に普通だろ…」
 そう答える緒方の耳は赤い。
「オレもみんなみたいに「星歌ちゃん」って呼んじゃおうかな?」
「…勝手にしろ…」
 しばらくして、白川がポツリと口にする。
「一柳先生が伯父さんってのも気づいたんだな」
 その言葉に緒方はハッとする。そうだ、コイツ、一柳先生が星歌の伯父だと知っていて黙ってやがったんだ…問い詰めてやる。
「白川、もう1つ大事な話がある」
「うん?怖い顔してどうした?」
 居酒屋の喧騒の中、春の夜が2人を軽やかに包んでいた。
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