第34章 それぞれの報告
星歌と明日美は、いつものカラオケボックスでホワイトデーの報告会。星歌は、緒方さん…じゃなくて精次さんと付き合い始めたんだ…と、ホワイトデーの夜の幸福感で心が浮き足立っている。
部屋に入るやいなや、明日美が目をキラキラさせて言う。
「星歌、告白されたんでしょ?」
マイクを星歌に向けて、まるでインタビュアーのようだ。星歌は照れながら頷き、まだ信じられない…と、胸がドキドキしている。
「おめでとう! 本当によかった!」
「ありがとう、でも、まだ信じられない…」
恥ずかしそうに笑う星歌の左手に、明日美はブレスレットを見つける。
「それ、もしかして緒方先生からのプレゼント?」
ニヤリと笑って言う。星歌は顔を赤らめて頷き、このブレスレット、精次さんが選んでくれたんだ…と、ホワイトデーのぬくもりを思いだす。
「ラブラブじゃん!『このブレスレット、ずっと着けててほしい』みたいに言うの?」
「そんなこと言わないよ」
星歌はクスクス笑う。
「なんか、あの緒方先生が恋愛してるの、想像できないよ」
「うん…」
「星歌は彼女なのに!」
「彼女…うん」
「ねえ、ホワイトデーにキスした?」
明日美はたたみかけるようにニヤリと聞く。星歌は、私、精次さんとキス…したんだ…と、胸がドキドキして顔が熱くなる。
「内緒!」
勢いよく答える
内緒って、つまりキスしたってことだよね…と、明日美は内心でニヤニヤ。星歌、相変わらず嘘つけないなぁ と、親友の初々しさを心の中で微笑ましく思う。
「どこかデートの予定とかあるの?」
「うん、お花見に行く」
「お花見か、いいね。『星歌、キミは桜より美しい』みたいなね」
「だから、そんなこと言わないってば!」
カラオケボックスの小さな部屋には、2人の乙女の笑い声と春の陽気が響き合っていた。