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白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第33章 一柳棋聖からの公認


「緒方くんが真剣なんだろうってのは分かった。星歌にも聞いてはみるが、反対はしないよ」
「ありがとうございます」
 緒方は軽く頭を下げる。内心ではかなりホッとしたが、平静を装っている。
 一柳がニヤリとして言う。
「星歌、かわいいだろ?」
「はい」
 緒方は照れながら答える。あの愛らしさ、あの笑顔、たまらないな…と、星歌のことをそっと思いだしている。
 一方で一柳は真顔に戻る。
「碁もしっかりな。十段戦、期待してるよ」 
「はい」
「星歌は優秀だから、恋愛が勉強の妨げにならないようにな」
「はい、もちろんです」
「泣かすようなことしたら許さないぞ」
「はい、大切にします」
 一柳は急に、睨みつけるような強い目をする。
「在学中に妊娠なんか、絶対にさせるなよ?」
 その迫力に緒方は一瞬たじろぐが、星歌のペースに合わせると決めたことを思いだす。
「もちろんです」
「まァ、緒方くんなら大丈夫だろ」
 一柳は笑顔に戻り、料理を口に運ぶ。緒方はホッとしつつ、十段も、星歌の笑顔も全部手に入れるんだと、決意を燃やしていた。

 その夜、一柳は自宅で食卓に着くと、呟くように言う。
「星歌に彼氏ができた」
 妻は目を輝かせている。
「あら!どんな人?」 
 その問いには、一柳より先に息子が答える。
「緒方先生でしょ?」
「なんでお前知ってるんだ?」
 一柳は目を丸くして驚いている。
「車の中で見つめあってたし、オレと星歌が一緒にいたら緒方先生、オレのこと彼氏と勘違いして怖い顔してるしさ、丸わかりだよ」
「それ、いつの話だ?」
「見つめあってたのは年末、星歌がゴッホ展行った日。怖い顔してたのは年明け。オレが父さんに書類届けたとき」
「ずいぶんと前から、いい仲だったんだな…」
「緒方さんって、背が高くてシュッとしてイケメンよね」
「碁はオレの方が強い」
「碁だけは強い父さんとイケメンの緒方先生か〜。緒方先生の中押し勝ちだな」
 息子が言うと一柳家の食卓は笑いに包まれ、幸せな空気が漂っていた。
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