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白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第29章 弟弟子からの応援と約束


 星歌は自室のベッドに横たわり、スマホを握りしめる。カフェでの緒方とのやり取りが頭の中で繰り返され、緒方さん、久しぶりに話しかけてくれた…と、心があたたまる。今なら、連絡できる気がする。星歌はベッドから跳ね起きて、スマホの画面を見つめる。
「バレンタインに渡したいものがあるので、少しでいいからお時間作ってもらえませんか? 緒方さんの家まで届けに行きます!」
 丁寧に、でも重くなりすぎないよう心がける。これなら大丈夫だよね…?何度か文面を読み返す。緒方さん、噂のこと気にしてるかな…。でも、私のこと気にかけてくれてた…と、カフェでのやり取りが背中を押す。
 当たって砕けろだよね!と、緒方への想いを込めて、えい!と気合いを入れ、お気に入りのスタンプとともに送信ボタンを押す。
 送信後、スマホを胸に抱き、送っちゃった…!返事来なかったら、どうしよう…と、緊張でドキドキする。でも、明日美と芦原先生も応援してくれてる。やってみるしかない。ダメだったら、残念会するんだから…。明日美が「一緒に泣いてあげる」と言ったことを思いだして、小さく息を吐く。

 緒方は自宅で塔矢名人の棋譜を広げて、十段戦の師弟対決に備えている。頭の片隅にはカフェでの星歌との視線が残っている。あの子の目…オレのこと、どう思っている…?と、胸がざわつく。
 スマホが軽く震えて星歌からのメッセージが届くと、緒方の心臓が高鳴る。バレンタイン…?まさか…と、星歌の笑顔が浮かび、胸が熱くなる。でもダメだ、会ったらまた…と、噂や年の差への懸念が頭をよぎる。ほぼ同時に、その日は関西棋院への出張だと思いだす。詳しいスケジュールを確認すると、帰りは遅くなりそうだと分かる。少しの時間でいいと彼女は言っているし、会う時間が短ければ問題ないだろ…?と自分を納得させる。ちょっとチョコを渡しにくるだけだ、それくらいなら構わない…。緒方は迷いつつも返信をする。
「その日は関西棋院への出張で、帰宅が20時半頃になる。それでもよければ」
 送信して数秒後には少しだけ後悔もするが、星歌の無邪気な笑顔が頭から離れないでいた。
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