• テキストサイズ

白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第27章 芦原の告白


「ごめんなさい…」
 星歌は頭を下げる。
 芦原はしばらく黙り、星歌の緊張が高まるが、やがて小さな声。
「だよね…分かってたよ」
 そして、すぐに明るい声が続く。
「でも、ちゃんと言えてすっきりした」
 星歌がゆっくり顔を上げると、穏やかな笑みの芦原と目が合う。こんなときでも、笑ってくれるんだ…。星歌は芦原の気遣いに心が軽くなる。芦原は続ける。
「星歌ちゃん、両想いだと思うよ?」
 両想い…?と、星歌は明日美の「緒方先生、星歌のこと好きなんじゃない?」を思いだして頬が熱くなる。少し震える声で聞き返す。
「どういう意味ですか…?」
「もうバレバレだよ」
 バレバレって…噂のことかな…と、星歌は動揺する。
「いろんなこと言う人いるけどさ、気にしなくていいと思う。大丈夫だよ、オレ、応援するから」
 芦原さん、やっぱり噂のこと知ってるんだ…と、星歌は胸がざわつき、何も言えずにいる。
「だから、いい子がいたらオレに紹介してね」
 芦原が軽口を叩き、星歌は思わずクスクス笑った。
「やっと笑った! これじゃどっちが振られたか分かんないな」
 芦原も笑う。
「あんな緒方さん、初めて見るよ。ずっと囲碁バカだったのに、星歌ちゃんに会ってからなんかイキイキしちゃってさ。それでも対局も絶好調だもんなぁ」
 緒方の名前が出たことで星歌は再び動揺する。
「どうして緒方先生の話が…」
「だから、もうバレバレなんだってば。2人とも嘘ヘタなんだもん」
 芦原はニヤリとして続ける。
「オレの推理が正しければ、2人、両想いだよ! 囲碁は苦手だけど、こういうのは得意だから!」
 明るい話し口に、星歌の気分も高揚する。
「芦原先生、…ありがとうございます」
 星歌は小さく笑みを返す。
 芦原は失恋の寂しさを胸に抱えながらも、穏やかな笑顔を見せる。兄弟子とこの子が幸せになってくれればいいな…心からそう願っている。
/ 143ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp