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白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第27章 芦原の告白


 バイトを終えた星歌は、ロッカーで帰り支度をしている。今日も緒方さん、来なかったな…と、最近見かけない緒方の姿を思い、忙しいのかな、それとも、私に会いたくないのかな… と、胸がどんよりと重くなる。「2人で会うのはやめよう」の言葉が頭を巡り、あのときの緒方さん、なんか遠かった…と気分が落ち込み、一緒に出かけたことが遠い記憶に感じられる。

「星歌ちゃん、大事な話あるから、夕飯付き合ってよ」
 外に出ると、芦原が軽く笑いながら声をかけてくる。大事な話って…まさか、告白じゃないよね…?と、星歌は胸にざわめきを感じる。気乗りしないが、芦原の熱意に押され、2人で近くの洋食店へと向かう。
 
 案内されたのは半個室。確かに大事な話にはぴったりだな…と星歌は漠然と思う。
「奢るから、何でも食べてよ?」
「いえ、自分で払いますよ」
「たまにはカッコつけさせてよ?」
 芦原が笑顔で言うので、遠慮なくごちそうになることにした。「この頃は対局の調子がいいんだ」とか「指導碁のお客さんがおもしろい人だった」など雑談が続き、星歌の緊張も徐々に解れていく。

 食後の紅茶が運ばれてくると、芦原はふと真剣な目になる。
「星歌ちゃん、ちょっと大事な話、いい?」
「はい…」
 星歌はカップを握りながら頷く。
「オレ、星歌ちゃんのこと、真剣に好きだよ。明るくて優しいところとか、一生懸命にバイトしているところとか、いいなって思う。だから…付き合ってほしい」
 芦原はストレートに告白する。星歌の心臓はドキリとして言葉が出ない。芦原さん、本気だったんだ…。私、芦原さんのこと好きになれれば幸せだったのかな…。でも私は…。星歌の心に緒方の姿が浮かぶ。「キミと出かけられて楽しかった」と言われたときの幸せな気持ちと、「2人で会うのはやめよう」の言葉の絶望感が交錯している。
 芦原さんは楽しい人だけれど、好きな人ではないんだ…と、星歌は結論を出す。
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