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白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第25章 彼女の恋人?


 夜の静けさに包まれた自宅で、緒方は棋譜を整理している。先日の塔矢先生と進藤の新初段シリーズは、1手目に20分をかけた妙な対局だったが、囲碁界に新しい波が来ると、棋士としての血が騒いでいる。
 作業が一段落してソファに横たわると、星歌の笑顔がふと頭に浮かぶ。先週、今年になって初めて志水くんとカフェで話せた…と、心をあたためている。
 だが、星歌のイトコの「星歌に告白したいってヤツら」という言葉が頭をよぎる。志水くんが誰かに告白される…?そう思うと、胸が苦しくなるような感覚に襲われる。どうするかは志水くんが決めることだ…オレが口を出すことではない…。年の差や立場への葛藤を抱きながら目を閉じる。あの子の笑顔を守れればいいんだ…と、複雑な気持ちが渦巻いている。
 そのとき、スマホにメッセージの通知が光る。
「緒方さん、お誕生日おめでとうございます!」
 星歌からのメッセージに、猫のようなキャラクターがケーキを持つスタンプが添えられている。そうか、今日、オレの誕生日だったか… と、緒方は一瞬呆然とする。そしてすぐに、志水くんはどうして知っているんだ?とドキリとする。
「ありがとう。誕生日、知っていたのか」 
「棋院のHPで見ました! 棋士の先生方の誕生日、載ってるんです」
 オレのこと、調べてくれた…?と、緒方の口元に笑みが浮かぶ。だが、少しの気恥ずかしさもあり、それをごまかすようなメッセージを送る。
「祝うような年でもないけどな」
「そんなことありません! 何歳でもおめでたいです!」
 キャラクターが元気いっぱいに飛び跳ねるようなスタンプとともに返信が届く。この子、真っすぐだな…と思わず目を細める。だが、1つ、志水くんと年齢差が開いたか… と、年の差への葛藤がよぎり、ほのかな寂しさも感じていた。
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