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白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第3章 女子高生であることの葛藤


 星歌はパジャマ姿で自室のベッドに横たわっている。部屋の隅の机の上には、教科書とノート、参考書や文庫本が整然と置かれている。窓は大きく開き、初秋の風が部屋に入り込んできてカーテンをさりげなく揺らしている。星歌はその風を心地よく感じながら、薄暗い部屋の天井をじっと見つめるようにして、ここ数日間のさまざまな出来事を思い返していた。棋院のカフェでのバイト、年配の棋士たちの軽口が頭をよぎる。
「彼氏はいるのかとか、髪を切っただけで失恋したのかって騒ぐの、本当に面倒くさいな…」
 小さく呟き、眉を寄せる。日本の女子高生って思っていた以上に性的な好奇の目に晒されるんだ…と、心がざわめく。今までの生活では感じなかった興味本位のような視線やプライベートへの必要以上の詮索が、彼女の心に小さな波紋を広げている。高校の制服ってかわいいのに…女子高生感ありありなんだよね…と、ため息が漏れる。
 高校なんて早く卒業したいな…早く大学生になって、日本文学をもっと深く勉強したいと、星歌の想いは未来へと飛ぶ。
 ふと、数日前の緒方との「I am a CAT」の会話を思いだす。それと同時に別の考えも浮かんでいる。そういえば、緒方先生は髪のこと何も言わなかったな…。なんでだろう?似合ってないからかな…? 失恋って勝手に決めつけられるのも嫌だけど、何も言われないのも微妙かもね…と心が揺らいでいる。
 緒方先生ってクールに見えて意外と話しやすいんだよねと、彼の姿を思い浮かべる。桑原の「赤い糸」発言や他の棋士たちの詮索とは違う、緒方の落ち着いた語り口や、余計な話をしない態度が頭に残っている。でも、髪を切ったのに気づいて何も言わないってことは…やっぱり微妙なのかな…と、少しの不安が星歌の心を乱していた。
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