第9章 思いの丈
【煉獄杏寿郎 視点】
湯に浸かりながら考えていた
母上の月命日か…
何か大きな決断を迫られた時
鬼から人を守れなかった時
どうしようもなく話を聞いてほしい時
母上の墓を訪れていた
ゆあ に朝餉の席で母上の墓参りに
着いてきてくれないかと声をかける
ゆあ が快諾してくれたので
昼頃向かうと伝える
そして、用事があると、家をでた
街を歩くと一軒の店に入る
「いらっしゃいませ」
そう声をかけられ、商品を見る
色とりどりの簪が並んでいる
贈り物などした事が無かったので
どんなものが喜ばれるか検討もつかない
しばらく見て回ると
朱色に金箔模様の入った玉がついた簪が目に入る
あまりに美しい色合いに、思わず手に取る
「そちら、あなたを表しているみたいですね」
店の主人に言われる
「贈られた方は大変喜ぶと思いますよ」
そう続けて言われ
「さすれば、これをたのむ!」
そうして選んだ簪を木箱に入れてくれた