第2章 鬼のいる世界
「きみが住んでいるところはどこだ?そこまで送ろう」
「住んでいるところは…」
と言いかけたところで彼女はなぜか黙る
“住んでいるところをいきなり聞かれて
不安なのか…しまった!不審者に思われたか”
そう考えていた次の瞬間
「あの、助けていただきありがとうございました。あと、鬼の事も理解しました!気をつけて一人で帰れますので大丈…」
“まてまてまて!鬼殺隊でもないきみが鬼を理解したところで一人で帰れるわけがない!”
そう思い、彼女の言葉に被せ気味に言う
「ダメだ!この辺は最近鬼が多い。またすぐに喰われてしまうぞ!
とにかく家まで送っていく。それまできみから離れるつもりはない!」
“なんて無謀なんだ!先程鬼に対して恐怖心がないと思っていたが危ない考えだ!”
彼女の方をチラリと見やる
少し困った様な表情をした後、
意を決したように話し出した
「すみませんでした。私には帰る家がないのです。だから助けていただいた身ですが送り届けていただく家がありません」
そう彼女は答えた
“帰る家が無い?家出をしているのか?いや、しかし…この場所になぜいるのか分からないと言っていた…人攫いに遭ったのか?
今考えても仕方がない。とりあえず…”
「このままここにきみを置いていく事はできない。事情は分かったから今日は我が家に泊まるといい」
そう伝えると彼女は大きく目開き
驚いた表情をした後、少し安堵した様に見えた
「うまい飯でも食べてゆっくり考えればいい!」
そう言葉をかけてその場を離れた