第8章 煉獄家
千寿郎が続ける
「ゆあ さんのご両親はご健在ですか?」
ゆあ の両親か…気にはなっていた
お祖母様の話はするが、その他の家族の話をしない
きっと聞かれなくないのかと思い聞けずにいた
「うん、二人とも仕事をしていて元気だよ」
「そうかそうか、どんな仕事をされているんだ?」
「両親共に医者です。母は救命医、父は整形外科医です。」
なんと!ご両親共に医師として働いているのか
きっとゆあ が居なくなり
さぞかし心配されている事だろう…
「それはすごい!ご両親共に医療に携わっているとは!人の命を救うという意味では我々と同じだな!」
「ゆあ さんは医療の道に進もうとは思わなかったのですか?」
千寿郎は疑問に思っているようだ
「うん、私も医者になろうと思っていたんだ…でもある時母から私には無理だと言われてしまって…」
ゆあ が悲しい顔をする
お前には無理だ
その言葉は俺も父上から言われてきた
鬼殺隊の剣士になる事も反対された
だからゆあの気持ちがよく分かる
千寿郎が慌てて謝る
「すみません!嫌なことを思い出させるような事を聞いてしまいました!自分は剣の才能がないと…剣士を諦めたので…」
「ううん、謝らないで!無理だと言われて諦めたのは私だから!諦めずに頑張る選択肢もあった筈だから!」
無理をしているのが分かる
だからこそ放っておけなかった
そして一人ではないと伝えたかった
「ゆあ には素晴らしいお祖母様がいるじゃないか!それに今は俺たちが全力できみを応援する!やりたい事をやるといい!」
涙を流すゆあ に千寿郎が
そっと手拭いを渡してくれた