第8章 煉獄家
大学いもに舌鼓していると
ふと疑問が浮かんだ
「あの、お二人のお母様は…」
そう言うと煉獄さんが答えてくれた
「母上は俺が少年の頃に病で亡くなった!千寿郎もまだ小さくほとんど覚えていないらしい!」
「そうでしたか…お仏壇に手を合わせたかったのですが、お二人のお父様の事もありますし、またの機会に…」
「すまないな…」「すみません」
二人が同時に謝る
どうやらお父様とは何かあるらしい
話題を変えようと話す
「実はご紹介できませんが、私にも弟がいるんです!たぶん、千寿郎くんと変わらない年だと思います♪」
「何と!ゆあ にも弟がいたか!」
「はい、最近は話す機会がほとんどなかったですが、幼少期は仲がよかったですよ。お二人の仲の良さには負けますが。笑」
「そうか、会って見たかったな!」
「そうですね、同じ弟としてお話ししてみたかったです!」
煉獄兄弟の仲の良さはほんとうに羨ましい
「ゆあ さんのご両親はご健在ですか?」
両親か…
「うん、二人とも仕事をしていて元気だよ」
そう答えながら思い出す
親子仲は良くも悪くも…
特に母との確執を思い出す
「そうかそうか、どんな仕事をされているんだ?」
「両親共に医者です。母は救命医、父は整形外科医です。」
「それはすごい!ご両親共に医療に携わっているとは!人の命を救うという意味では我々と同じだな!」
「ゆあさんは医療の道に進もうとは思わなかったのですか?」
千寿郎は疑問に思っているようだ
「うん、私も医者になろうと思っていたんだ…でもある時母から私には無理だと言われてしまって…」
遠い過去の、嫌な記憶が思い起こされる
千寿郎くんが慌てて謝る
「すみません!嫌なことを思い出させるような事を聞いてしまいました!自分は剣の才能がないと…剣士を諦めたので…」
「ううん、謝らないで!無理だと言われて諦めたのは私だから!諦めずに頑張る選択肢もあった筈だから!」
「ゆあ には素晴らしいお祖母様がいるじゃないか!それに今は俺たちが全力できみを応援する!やりたい事をやるといい!」
…煉獄さん…
涙を流す私に千寿郎くんが
そっと手拭いを渡してくれた