第7章 柱合会議-其の壱
【煉獄杏寿郎 視点】
甘露寺の家から宿に向かう道中
全く会話が無かった
“このまま会話がないのは辛い!”
そう思うが先程の話を聞いては
なんと声をかけていいのか分からない
“甘露寺の家に泊まった方が良かったか?”
思わずそう考えてしまう
そうこう悩んでいるうちに宿に着く
今日も女主人が出迎えてくれた
だが困った事が起きた
「煉獄さま、申し訳ありません。本日お部屋が一つしかございませんで…」
“こんな時に限って一部屋しかないとは!”
ゆあ の方をみると
「同じ部屋で大丈夫です!」
ゆあ がそう答える
驚いたが選択肢はないので
「一部屋で構わないので案内を頼む!」
と言って案内をしてもらう事にした
部屋に着き
「ごゆっくりどうぞ」
そう言って女主人が立ち去る
…気まずい空気が流れる…
“このままではいかん!とにかく謝ろう!”
そう意を決し、声をかける
「煉獄さん」「ゆあ 」
声が重なる
「煉獄さんからどうぞ」
「いや、ゆあ から話してくれ」
思わずズルい言い方をしてしまう
ゆあ は俺の方をしっかり向いて
目をみて話し始める
「煉獄さん、ごめんなさい。私、大人気ない態度をとりました。鬼殺隊の事を理解しているはずなのに、自分の感情を優先しました…」
“あぁ、辛かっただろうに…すまない”
「ゆあ が謝る事はない。自分の信念を曲げないという事は簡単なようで難しい。ゆあ はそれを貫いた。立派だと思う!」
嘘偽りない、俺の思っていた事を伝える
続けて話す
「だが…正直…この先きみに口を聞いてもらえなくなるのではないかと心配していた…きみが怒る理由も分からなくはないからな…」
“こんなにも堪える事があるのだな”
自分の中の新たな一面に驚く
ゆあ は笑うと
俺を自分の胸に引き寄せて
頭をポンポンとする
“!?!?俺は今どんな状況だ!?!?”
なかなか状況が飲み込めない
一旦離されると
「それは絶対に有り得ません。一週間位は怒って口を聞かなかったかもしれませんが…」
と。そこまで言うと
我慢でなかったと言うように
フフフフフと笑うゆあ の姿がそこにあった
温かい気持ちになりながら
一緒に笑っていた