第7章 柱合会議-其の壱
帰り際、蜜璃ちゃんがこっそり耳打ちする
「 ゆあ ちゃん、私達の事は許せなくても煉獄さんの事は許してあげてほしいの。煉獄さん、すごく心配そうだから」
蜜璃ちゃんにそう言われて
うん、と小さく頷き
バイバイと手を振って歩きだす
しばらく歩くと、行きに寄った宿に着く
今日も女主人が出迎えてくれた
「煉獄さま、申し訳ありません。本日お部屋が一つしかございませんで…」
煉獄さんが私の方をみる
「同じ部屋で大丈夫です!」
私がそう答えると、煉獄さんは驚きながらも
「一部屋で構わないので案内を頼む!」
と言って案内してもらう
「ごゆっくりどうぞ」
…気まずい空気が流れる…
蜜璃ちゃんも言っていたし…
私からちゃんと謝ろう!
そう意を決し、声をかける
「煉獄さん」「ゆあ 」
声が重なる
「煉獄さんからどうぞ」
「いや、ゆあ から話してくれ」
そう言われてしまっては、私から言うしかない
煉獄さんの方を向いて、しっかりと目をみる
「煉獄さん、ごめんなさい。私、大人気ない態度をとりました。鬼殺隊の事を理解しているはずなのに、自分の感情を優先しました…」
思わず目を伏せる
「ゆあ が謝る事はない。自分の信念を曲げないという事は簡単なようで難しい。ゆあ はそれを貫いた。立派だと思う!」
なぜか褒められて戸惑う
続けて煉獄さんが話す
「だが…正直…この先きみに口を聞いてもらえなくなるのではないかと心配していた…きみが怒る理由も分からなくはないからな…」
いつもの柱としての煉獄さんではなく
母親に怒られている少年のような姿に
思わず笑みが溢れる
自然と煉獄さんを抱きしめて
頭をポンポンとした後、一旦体を離す
「それは絶対に有り得ません。一週間位は怒って口を聞かなかったかもしれませんが…」
と。そこまで言うと、我慢できずに笑ってしまった
そんな私をみてか、つられて煉獄さんも笑う
「夕餉のお時間です」
そう声がかかり、二人で部屋を出た