第2章 鬼のいる世界
「住んでいるところは…」
と言いかけて私はだんだんと自分の状況を理解する
“わたしの住んでいる家はここにはない気がする”
「あの、助けていただきありがとうございました。あと、鬼の事も理解しました!気をつけて一人で帰れますので大丈…」
言い終わらぬうちにその人が被せ気味に話す
「ダメだ!この辺は最近鬼が多い。またすぐに喰われてしまうぞ!
とにかく家まで送っていく。それまできみから離れるつもりはない!」
そう言い終わるとそのひとは
ジッとこちらを少し睨むようにみる
“どうしたらいいのか…正直に言うしかないかな…”
「すみませんでした。私には帰る家がないのです。だから助けていただいた身ですが…送り届けていただく家がありません」
少しの沈黙のあとその人は口を開いた
「このままここにきみを置いていく事はできない。事情は分かったから今日は我が家に泊まるといい」
そう言うとその人は
私の手を握り、続けてこう言った
「うまい飯でも食べてゆっくり考えればいい!」
しっかりした言葉とやさしい笑顔で
そう語りかけられた