第5章 炎柱と水柱
正座して向かい合って座る
シン…
と静かな空気が流れる
お互い音もなく立ち上がると
竹刀を振るう
久しぶりの手合わせだが
やはり今日の煉獄は力が入り過ぎている
そう思いながらしばらく打ち合いをしていると
バキっ!と竹刀の割れる音がする
割れた破片の行き先が
ゆあさんの方だと分かり
すぐに駆け寄る
抱きかかえて避けると
「ゆあ 大丈夫か!?ケガはないか!?」
とても焦った顔の煉獄が目に入る
ゆあさんが落ち着いて答える
「はい…冨岡さんが守ってくれたので無傷です」
そう言うゆあさんの言葉に対して
なぜか不機嫌な煉獄
そっとゆあさんを下ろすと
「ありがとうございました」
そう言ってゆあさんが頭を下げる
「いや、こちらの不注意で危ない目に合わせてしまって、すまない」
ケガをさせずに済んだ事に
胸を撫で下ろしていたが
どうにも煉獄の態度が気になる
「煉獄、少し部屋で横になってもいいか?」
そう言った後に
煉獄にだけに聞こえるように
「何があったのかは分からないが落ち着け」
そう言うと俺は部屋に戻って行った
部屋に戻り羽織を脱ぎ、横になる
ふぅと息を吐き天井を見上げる
“煉獄のあの態度は…俺も色恋に詳しいわけではないが…あれはそういうものじゃないだろうか…”
そう考えながら目を瞑った