第5章 炎柱と水柱
隊服の冨岡さんに対して
道着の煉獄さん
二人は正座して向かい合っている
シン…
と静かな空気が流れる
次の瞬間
目にも留まらぬ速さで打ち始める
パン!カン!
カン!カン!
竹刀を打ちつけ合う音だけが響く
え…全く見えない
でも…すごい覇気が伝わる…
思わず目が離せないでいると
バキっ!と音を立てて
割れた竹刀の破片が飛んできた
「危ない!」
煉獄さんの声より早く冨岡さんが
私を抱えて避けてくれた
速すぎて何が起きたのか分からなかった
煉獄さんが走ってくる
「ゆあ 大丈夫か!?ケガはないか!?」
「はい…冨岡さんが守ってくれたので無傷です」
私は冨岡さんにお姫様抱っこのような形で
抱えられていた
冨岡さんはそっと下ろしてくれた
「ありがとうございました」
頭を下げる
「いや、こちらの不注意で危ない目に合わせてしまってすまない」
ぶっきらぼうに聞こえるがやさしい声音に
先程抱えられていた事を思い出し
鼓動が早くなる
「煉獄、少し部屋で横になってもいいか?」
「あ、ああ」
そう言うと冨岡さんは部屋に戻って行った
煉獄さんがもう一度聞いてきた
「ゆあ 本当に大丈夫か?一緒に来るように言っておきながら、すまなかった」
煉獄さんが頭を下げる
本当に無傷だったからそんなに謝らないで欲しいな…
そう思っていた私は
「そんな!謝らないで下さい!私初めて剣技を見ました!なんと言うか…お二人の手合わせに見惚れてボーっとしていました!」
そう言う私を見て
煉獄さんは少し困った顔で笑っていた