第5章 炎柱と水柱
私は今鏡の前に立っている
昨日届いたブラウスとジャンパースカートを身につけた自分の姿を見ていた
“これは…アバンギャルディみたいだな”
そんな事をふと考えていると、鏡越しに目が合う
“え…誰?”
その人は黒子の様な格好で
開いたままだった襖から、こちらをじっと見ている
「あの…おはようございます」
恐る恐る声ををかける
その人は無言のまま
つかつかと近寄ってくる
…え…怖…
「申し遅れました。わたくし前田と申します。鬼殺隊で隠しをしております。主に隊服を作っております」
そう言い終わるや否な
スッとスカートに手が伸びる
!?
驚き、声を上げる前に
一際大きな声がしたかと思うと
私と前田さんの間に煉獄さんが現れる
「前田くん!新しい隊服を届けてくれてありがとう!彼女は隊士ではない。近づかないでもらえるか」
少し怒気を含んだ声が響く
!? びっくりした…
煉獄さん、ただでさえ声大きいからな…
隠しの前田さんの顔が
サーっと青ざめる
「炎柱、隊服はお部屋に置いておきました!それでは失礼いたします!」
そう言うや否や凄い速さで帰って行った