第4章 生活のはじまり
その後も下着や寝巻きなど
一通りの生活品を買っていただいた
いろいろと品物が揃ってくると
生活をする実感が湧いてきた
今まではどこか実感がなく
長い長い夢を見みているようだった
「そろそろ昼餉の時間だな!」
そう言われてデパートにある時計に目を向ける
時間の感覚も全くなくなってた…
「腹の虫は鳴らないか!?」
と煉獄さんに揶揄われてしまった
「今日は大丈夫です。朝たくさんいただきましたから」
少し拗ねた言い方になってしまった
それを見た煉獄さんが少し慌てたので
フフフ と思わず笑ってしまった
「うまい蕎麦屋があると聞いた。行ってみよう」
そう言われデパートを出て歩いてゆく
蕎麦を待っている間に
煉獄さんがゆあ が生活している時代の話を
聞きたいと言ってきた
私はなるべく分かりやすく伝わるように
大正と令和の対比で話す
着物の人はほとんどおらず皆洋装な事
汽車の代わりに電車が普及している事
電気が常に使え、東京の街が明るい事
高い建物があり今のような広い空は見えない事
煉獄さんは「うんうん、そうかそうか」と
話を聞いてくれていた
そして私は煉獄さんが1番聞きたかったであろう
核心の話をする
「煉獄さんが生業としている鬼退治ですが…
たぶん、鬼は全滅していると思います。
私が運良く遭遇せずに済んでいるだけかもしれませんが…少なくとも私の祖父母からも鬼がいたと言った話は聞いたことがありません」
しばしの沈黙が流れる
“今どういう気持ちでいるのだろう”
ゴクリと喉がなる
「そうか…」
と言った次の瞬間、
「それは誠に嬉しいことだ!鬼を滅殺できたという事だな!我々の戦いが身を結のだな!こんなに嬉しい事はない!これを他の隊士に話せない事が誠に残念だ!」
満面の笑みでそう話す煉獄さんを見て
ほっとする
「はい、煉獄さん達のおかげで私たちは幸せに暮らせています!鬼に怯えて暮らしている人はいませんよ!」
この言い方が正しいのかはわからない
本当は一番話してはいけない
未来の話なのではないかと思った
だけれど、命をかけて戦い
私の話を信じてくれている人を前に
伝えずにはいられなかった
「へぃ、ざるそば5人前お待ち!」
箸を取りそばを食べた