第4章 生活のはじまり
洋装が売っているフロアに着く
「いらっしゃいませ」
スーツ姿の店員がうやうやしく頭を下げる
「この娘に洋装を買いたい!見せてもらえるか!」
そう声をかけられた店員が ゆあ を見たかと思うと、目を見開いた
“上流階級を相手に商売しているから…やはり分かるか”
「こちらへどうぞ」
と案内される
ゆあ を歩かせ後をついてゆく
そこには初めてみる女性用の洋装も多く
並べられていた
“ほぉ。洋装とはこんなにも色々とあるのだな。
ゆあ が居なければ知ることも無かった”
そう考えながら辺りを見渡す
すると先程の店員が ゆあ に聞いた
「どういったものがよろしいですか」
だが ゆあ はなかなか答えない
それよりもどんどん顔色が悪くなっている
その理由は何となく予想がついたので
ゆあ の横に立つと
ゆあ にだけ聞こえるような声で言った
「値段は気にするな、君にこれを買ってあげられるくらいの甲斐性はある。安心して好きなものを選ぶといい」
そう言われて ゆあ が驚き振り返る
そして何か言いたげな目を向けてくるので
笑顔を向けた
何か吹っ切れたという風に服を選び
あっという間に買い物は終わった
店員が聞こえるか聞こえないかと言う声で
俺だけに話しかけてきた
「とても美しいお方ですね。きっとどれもお似合いだと思いますよ。他にもご用命とあらばいつでもお待ちしております」
「それでは後ほどお包みしてご自宅にお持ちします」
「よろしく頼む!」
そう言って店を後にした