第4章 生活のはじまり
【煉獄杏寿郎 視点】
ゆあ と共に着るものを買いに街を歩いている
先程からすれ違う人々が ゆあ を
目で追っているのが分かる
俺も褒めたが、やはりこの浴衣は
とても ゆあ に似合っている
だがそれ以上に唯ならぬ品性が滲み出ていて
浴衣と相まって人々の目を惹きつけているようだ
“お祖母様もさぞかし目を細めてお喜びだったに違いない”
そんな事を考えながら歩いていると
ふと疑問が浮かぶ
“ ゆあ のご両親は健在なのだろうか?”
ご両親の話が出ない事を不思議に思った
そうこうしているうちに呉服屋へと着いた
店に入ろうとしたその時、袖を引かれた
見ると ゆあ が何やら焦っている
「あの、煉獄さん!お恥ずかしながら、私一人で着物を着ることが出来ないのです!不躾なお願いになりますが、洋装を買っていただけないでしょうか!」
“着物が着れない!?その様な事があるのか!”
だが考えてみれば未来からきたとなれば
服装も違うだろう
今この時も洋装をしているものが多くなってきた
我々鬼殺隊の隊服も言われてみれば洋装だ
「よもやよもやだ!確認をせずにすまん!では洋装店に行こう!」
そう言って踵を返す
「ありがとうございます…」
ゆあ がとても申し訳なさそうに言う
“あとで未来の生活なども聞いておかねば!”
どうも ゆあ が未来からきたと言う事を
俺は忘れがちだ
昨日聞いたばかりでまだ混乱していないと言えば
嘘になるからな…
そんな事を考えていた