第4章 生活のはじまり
【煉獄杏寿郎 視点】
よほどこの膳が気に入っているのか
ゆあ は箸を進めるのが早くなる
“とても幸せそうに食べるな。見ているこちらまで幸せな気持ちになる”
そう思いながらふと浴衣に目がいく
昨日は日も暮れて暗くはあったが
黄色地に青い朝顔が描かれていて
ゆあ の白い肌によく合っていると思っていた
朝になり改めて見ても、やはりよく似合っている
思わず声が出る
「ゆあ、昨日も思っていたのだがその浴衣とても似合っている!しかも上質なモノの様に思う!今日買う着替えもいいモノを揃えよう!」
と伝えたところ
ゆあ の頬がほんのり赤くなる
“照れているのか!なんとも愛らしい”
そう思ったのも束の間
ゆあ の表情が一瞬哀しみを帯びる
“なにか思い出したのか?”
そう問いかけようとした時、
「これは祖母が私のためにあつらえてくれた浴衣です。私に似合う生地を選んで作ってくれたみたいで、褒めていただけて嬉しいです♪」
と話した。
“先程の顔はお祖母様の事を思い出しての哀しみからなのか?”
なんだか胸の奥がチクリとした
しかし嬉しい気持ちは伝わってきたので
こちらも気にしない事にした
「そうそうか!孫娘の事をよく分かっておられるな!お祖母様の感性は素晴らしく良いな!」
“お祖母様に恥じない様なモノを買ってやらねばな!”
そう決意を胸に
「よし!朝餉も済んだところだ!買い物に行こう!」
と声をかけた