第3章 大正にいるという事実
台所に着くと
先程お米を炊いた釜とお櫃を水に濡らす
そうして隣に並んで洗いものをしていると
声がかかる
「そういえば、冷泉ゆあ さんは歳はいくつなんだ?みたところまだ若そうだが…」
そう言って遠慮がちに聞いてくる
「私は十八です。煉獄さんはおいくつですか?」
そう聞き返すと
「俺か!歳は二十になった!…そうか冷泉ゆあ さんは2つ年下か!」
気になっていた事が分かり嬉しそうな煉獄さん
そんな煉獄さんに私も疑問を投げかける
「あの、煉獄さん。ひとつ気になっていたのですが…」
「む?なんだ!?」
「私の事フルネームで呼んでくださっていますが、…あの…ゆあ と呼び捨てでいいですよ?年も下ですし」
そう伝えると、本人は無意識だったのか
驚いた表情で私を見る
「む?確かに冷泉ゆあ さんと呼ぶのは難儀だったが、どうも俺は人の名前を忘れてしまうのでだな…」
なんだかゴニョゴニョと
言ったかと思えば
一瞬考えた後
「よし!では今からゆあ と呼ぼう!俺もこの方が呼びやすい!」
何故か反対側を向きながらそう言っていた