第3章 大正にいるという事実
【煉獄杏寿郎 視点】
「わぁ〜炊き立てのお米のいい香り♪お釜で炊いたご飯なんて久しぶりです!」
冷泉ゆあはそう言うと
少女のように目をキラキラさせていた
“??釜で炊かない米があるのか??”
そんな疑問が浮かんだが
少女のような彼女を見るに
“なんとも可愛らしい表情だな”
疑問など忘れ、そう思った
「そうかそうか!そんなに喜んでくれて俺も嬉しい!では米を握ろう!」
嬉しくなり、こちらの声も弾む
そう言って二人でおにぎりを握った
“千寿郎とも久しく会ってないな”
ふと、弟の事を思い出す
最後に一緒に食事をしたのはいつだったか…
そう考えながら目をやると
冷泉ゆあが小さく
「いただきます」と言って手を合わせて
おにぎりを頬張る姿が目に入る
二口三口と進めていく中で
また泣きそうになっている事に気がつく
「うまい!」
一際大きな声でおにぎりを頬張る
うまいのは事実なのだが
それよりも彼女に笑ってほしいと思った
そう考えたら自然と声に出ていた
冷泉ゆあ みるみるうちに笑顔になった
それをみて、こちらも嬉しい気持ちになった
「あ〜おいしかったです〜、ご馳走様でした」
そう言って手を合わせる
その姿がなんだか愛おしかった
「 冷泉ゆあさん、いい食べっぷりだった!後片付けを済ませてくる!ゆっくり休んでいてくれ!」
そう言ってからハッとする。
すると想像していたように彼女から声がかかる
「片付けは私も一緒にさせて下さい!こちらでしばらくお世話になる以上、私も何かしたいんです!お願いします!」
こちらが断れないように言われてしまった
なんだか考えを読まれてしまったようで
恥ずかしかった
だが次の瞬間には
「それでは一緒に頼む!」
と言って微笑む己がいた