第3章 大正にいるという事実
「謝ることはない。落ち着いたのなら良かった。そしてきみの話を俺は信じる!だから心配いらない!帰る術がみつかるまでここにいるといい!というよりきみの事だからここを出ていこうなどと考えていそうだがそれは許さない!
せっかく助けた命を無駄にしてほしくない!」
急に大きな声で言われ、ビクッとする
だが煉獄さんは真剣な眼差しだった
確かに私は明日には
このお屋敷を去ろうと考えていた
でもそれは寝ずに考えれば
何かいい案が浮かぶと思ったからだ
世話になりたくないと言うよりも、
自分が此処にいる事で煉獄さんの未来が
変わってしまうのではないかと思った
だけど、そんな私の考えはお見通しとばかりに
此処にいるように言われてしまった
確かに煉獄さんの言う通り
せっかく助けてもらった命を
無駄にしてしまうかもしれない
しかしそれでも未来を変えてしまう事への
不安の方が大きかった
なるべく悟られないように話す
「ありがとうございます。煉獄さんに助けていただいた命、無駄にはできません。きちんと煉獄さんにも納得していただけるよう考えますので、それまで此方においてください」
そう言って三つ指を揃えて頭を下げる
煉獄さんはポンっと私の頭に手をおくと
「畏まらなくていいと言っただろ!この話は今日は終いにしてご飯を食べようじゃないか!一緒におにぎりを握ってくれるか!?」
そう言ってにっこり笑ってくれた。
そして二人で台所へと向かった。