第3章 大正にいるという事実
私は大きく息を吸い込み、ふぅと息を吐いた
「私は今から110年後の令和という時代から来ました。先程カレンダーで確認した大正という時代は私の曽祖父母が生まれた時代です。
どうして大正時代にいるのかと言われると、私にも分かりません。ただここにくる前の令和の時代に私は隅田川の花火大会に向かっていて、その途中で地震に遭い、建物が倒れてくる時に目をつぶっていたら待乳山にいました」
お茶を一口飲む
「先程、煉獄さんに帰る家がないと申しましたが、それはそういった理由からです。私の実家はもしかしたらあるかも知れませんが、彼らは私が誰だか分からないでしょう。まだ生まれてすらいないですから…」
そこまで言い終わると不意に涙が溢れてきた
自分でもこれが悲しさからなのか
ただただ不安からなのか分からなかった
すると ふっと暖かいものに包まれた
「まずは泣いたらいい。我慢する必要はない。気持ちは吐き出した方がいい。」
煉獄さんはそう言って優しく抱きしめてくれた