第20章 新生活
【煉獄杏寿郎 視点】
「ゆあ!我が子!おはよう!」
勢いよく襖を開けると
「炎柱様!お静かに!」
宇髄嫁の雛鶴さんに怒られてしまった
すまん…
「ゆあ さんは今眠ったところです。小間切れで眠っていますから、起こさないであげて下さい」
「申し訳なかった…」
「赤子さん、抱きますか?」
そう言って雛鶴さんから手渡される
「小さいな…」思わずそう呟きながら
我が子が生まれた実感を噛み締める
我が子がふっと笑ったような気がして
思わず頬が緩む
この子はいったいどちらに似るんだろうか
見た目はやはり俺にか?
性格はゆあ だろうか
どちらにしても、強く優しい子に育つだろう
「兄上…」小声で千寿郎が呼んでくる
我が子を片手で抱いたまま襖を開ける
「どうだ、甥だぞ」そう言って手渡すと
千寿郎は恐るおそる抱く
「可愛いですね…」そう言いながら涙を浮かべる
「ほんとうにな」
「父上もこちらに!」
そう千寿郎に促されて様子を見に来ていたであろう父上が柱の陰から出てくる
そうして、千寿郎の腕からから父上の腕の中に移る
「孫が抱ける日がくるとは…感慨深いな…杏寿郎と千寿郎が生まれた日を思い出す」
そう言いながら我が子を見る父上の目からは
涙が滲んでいた
「ゆあ さんには感謝せねばいかんな、杏寿郎」
「はい!ゆあには常に感謝しています!」
この後、声が大きい!と雛鶴さんに
また怒られたのは言うまでもなかった