第2章 鬼のいる世界
【煉獄杏寿郎 視点】
「お邪魔します」
そう言ってから靴を揃えて上がる
その所作がなんとも美しかった
「うむ、洗面所や便所の案内をしてから部屋に連れて行く。あまり畏まる事はないから何かあれば遠慮なく聞いてほしい!」
“冷泉ゆあ も疲れているだろうから手早く案内をして部屋で休ませてあげなければ”
そう考えていると
ぐぅ〜
静かな夜に腹の虫が鳴くのが聞こえた
「そうか!腹が減っているか!気が付かずにすまない!今から用意するから待っていて欲しい!遠慮はするな!」
そう言って冷泉ゆあ の方を見遣ると、
顔を真っ赤にして俯いている
“なんと!可愛い表情をしているな!
だが今はそれどころではないな、米を炊かねば!”
そう言って足早に冷泉ゆあを
案内すると居間に連れて行く
「少しここで待っていて欲しい!今から台所で夕飯の準備をしてくる!」
すると案の定冷泉ゆあ は
手伝いを申し出てきた
「あの!私にも何かお手伝い出来る事はありませんか?何もせずにここにいるのは…」
“気を遣わないという方が難しいだろうが…”
「気にするな!米を炊いて握り飯を作ろうと思っているから手伝いは必要ない!」
と、却下すると俺は台所へと急いだ
米を炊く準備をし、炊き上がるまで
一緒に茶を飲もうと準備をする
“腹の虫が鳴ったからと赤くなったかと思えば、世話になるからと気を遣う。なんともおもしろい女子だ”
そう考えると自然と笑みが溢れた
居間に茶を持って向かう
襖に手をかけ声をかける
「米が炊けるまで茶を飲んで休もう」
そうして中に入ると
居間の壁にかけられているカレンダーの前で
固まっている冷泉ゆあ がいた…