第2章 鬼のいる世界
「お邪魔します」
そう言ってから靴を揃えて上がる
ついでに下駄も袋から出し、置かせていただいた
「うむ、洗面所や便所の案内をしてから部屋に連れて行く。あまり畏まる事はないから何かあれば遠慮なく聞いてほしい!」
そうして煉獄さんが案内しようとした時
ぐぅ〜
静かな夜に腹の虫がなる
「そうか!腹が減っているか!気が付かずにすまない!今から用意するから待っていて欲しい!遠慮はするな!」
そう言って足早に家内を案内されると
居間に連れて行かれた
「少しここで待っていて欲しい!今から台所で夕飯の準備をしてくる!」
「あの!私にも何かお手伝い出来る事はありませんか?何もせずにここにいるのは…」
“お世話になる身でありながら夕飯まで食べさせてもらうのはさすがに申し訳ない!”
そう思い申し出ると
「気にするな!米を炊いて握り飯を作ろうと思っているから手伝いは必要ない!」
と、呆気なく却下されてしまった
“ま、そうだよね。勝手を知らない台所で料理なんて無謀だな。”
却下された事に少しホッとする
「ではしばし待たれよ」
そう言って煉獄さんは居間から出て行った
明かりのついた居間を見渡すと、
ちゃぶ台に座布団と掛け軸が目に入る
いかにもな純和風の造りだ
そこで一つのカレンダーが目に入る
“大正◯◯年八月…
うそ…何これ…”
思わず近づいて見る
日めくりカレンダーなので次を覗くとやはり
大正と書いてあった
“大正って…え?明治の次だよね?
あれ?ひいおばあちゃんって大正何年生まれだっけ?
あれ?
あれ?
大正って…戦前じゃん
私タイムスリップしちゃったの!?”
呆然とカレンダーを見て立ちすくんでいた