第19章 継承
寒くないか。
そう言って杏寿郎さんが羽織をかけてくれる
「ありがとうございます」
そう言って微笑むと杏寿郎さんも微笑む
温かな空気が流れたあと
スッと杏寿郎さんが真面目な顔になる
「宇髄と竈門少年達が上弦ノ睦を倒してから、鬼の動きが以前よりも活発化している。数も増えているように思う」
「はい、そのように聞いています」
「俺と戦った上弦ノ参も、いつまた姿を現すかわからん」
…そうだよね…
「だが心配するな!今や竈門少年達の様に力をつけている隊士達も増えてきている!俺もあの時の様に一人で戦わずに済むだろう!」
確かに、炭治郎くん達が
強くなっていると感じた
事実、上弦の鬼を倒す事ができた
でも、宇髄さんは腕を失い柱を引退
杏寿郎さんも右目を失っている
もしもの時に自分が現場に行き
助ける事ができないのがもどかしい
「今、自分が何もできないと思わなかったか?」
「え?」
「その様に思うな。きみは今、次の世代へと繋ぐ為に頑張ってくれている。炎柱の血を、皆の意志を受け継いでいく者を…」
「受け継いでいく…」
「だから自分を貶めるような事は考えるな!今自分にできる事を精一杯頑張ればいい!」
そう言って強く抱きしめられた
「うん、私は今はこの子の事だけを考えるよ」
そう言ってお腹を撫でる
「うむ!きみの母上は強くて頼もしいな!」
私のお腹を撫でながらお腹に向かって話す
そんな温かな日だった