第16章 音柱
最近やっと柱として任務への復帰に向けて
鍛錬の許可が出た杏寿郎さんは
朝から精を出していた
「杏寿郎さん、嬉しそうですね」
「うむ!祝言も大まか決まり、任務にも復帰できるとあれば、やはり嬉しい!」
ふふふ。思わず笑みが溢れる
「よぉ!煉獄!朝から精がでるな!」
「宇髄!また今日も来たのか!」
そうなのだ、宇髄さんはあれから毎日来ては
私や杏寿郎さんの気が変わらないか聞いてくる
「毎日毎日熱々のところ悪いが、俺も諦めが悪いんでな!どうだゆあ!手伝う気になったか!?」
「いえ…なっていません。宇髄さん、私よりももっと歴の長い、力のある隊士の方にお願いした方がいいと思いますよ…」
「歴はあんまり関係ねぇよ。医療班は隠であって剣士じゃねぇ。剣士は刀は振るえても治療はできねぇ。な!お前しかいないだろ!」
うっ…
「宇髄!何度も来てもらって悪いがダメなものはダメだ!」
宇髄さんはゴロンとその場に横になり
頬杖をつくと
「ゆあ、お前、煉獄以外の男しらねぇんじゃねぇか?だったら祝言を挙げる前に他の男を知るのもありだと思うぜ」
!?
「宇髄!お前いいかげんにしないか!」
「てのは、冗談だよ。俺もそんなに鬼畜じゃねぇからよ。ゆあ、お前には医者として入り込んでもらいたい。遊廓にはお調べと言って遊女に病がないか調べる機会がある。その時に探ってもらいたいんだ」
そう話す宇髄さんの目は至って真剣だ
「…俺の嫁と連絡が取れなくなった」
え!?
「今、竈門と我妻、それに嘴平が潜入している。来てもらえないか」
そういうと宇髄さんは起き上がりこちらを見る
炭治郎くん達が行っているんだ…
チラリと杏寿郎さんを見る
「分かりました。そういう事なら、私行きます」
「ゆあ!本気か!?」
「はい、杏寿郎さん、お願いします」
そう言って頭を下げる
…しばし沈黙が流れる…
「分かった。だが宇髄!何があってもゆあを守ると約束してくれ!」
「当たり前だろ!命に換えても守る!嫁が大事なのは俺も同じだからな!」
「あぁ!よろしく頼む!」
「そしたら早速で悪いんだが今から向かうから準備してくれ!日輪刀は俺が預かる。いざと言う時に渡す!」
「分かりました」