第14章 元炎柱
居間に行くとゆあ と千寿郎が待っていた
「兄上、用意ができましたよ!兄上の好きなさつまいもの味噌汁です!」
「私が作ったので美味しいか分かりませんが…」
「ゆあ が作ってくれたさつまいもの味噌汁か!それは楽しみだ!だが、その前にゆあ、一緒に父上の部屋に来てほしい」
え…
「千寿郎もきてくれ!」
「はい!兄上!」
「ゆあ、大丈夫だ!父上は怒ってきみを呼びだしている訳ではない!」
「…分かりました…」
どうしよう…怒ってないなら何だろう
「父上、連れて参りました!」
「入れ!」
「失礼します!」
一礼して入る
そこには昨日会った姿とは違い
身なりがきちんと整えられ
元柱としての威厳のある、お父様がいた
「そこに座りなさい」
「はい」
杏寿郎さんと並んで座る
「まず、ゆあ さん…と言ったか、杏寿郎を救ってくれてありがとう」
そう言ってお父様は深々と頭を下げた
「いえ、当然の事をしたまでです」
私もそう言って頭を下げる
「俺がこんなだからな…杏寿郎には迷惑をかけてきた…だが、きみに言われた事が、妻の瑠火に言われているようで、気付かされた」
…
「きみは杏寿郎の許婚だと聞いた、私と違い息子は強く優しく子だ。これからも杏寿郎をよろしく頼む」
……そんな風に思っていたんだ…
「不束者ですが、これからも杏寿郎さんを支えていくつもりです。どうぞよろしくお願いします」
深々と頭を下げた
「父上!俺達の事を認めて下さるという事でよろしいでしょうか!」
「ああ!もちろんだ!」
一連の話を聞いていた千寿郎くんが涙を流す
「「千寿郎泣くな!」」
二人が同時に言うと
誰からともなく笑い声が漏れ
温かい空気が流れた