第2章 鬼のいる世界
そんな 冷泉ゆあの姿に目を遣ると、
浴衣に下駄を履いている
ここから自宅まではまだ距離がある
冷泉ゆあが
どういった理由であそこに居たのか
未だ分からないが、大変だろうと思い聞く
「それでだ、我が家までまだ遠いのだが、見たところ君は下駄だ。大変だろうから背中に乗りなさい」
そう言って彼女の前で背中を見せて屈む
「え…あのそれは遠慮したいです…私重いですし、履き替える靴を持っているので…履き替えてもいいですか?」
“む?重い?何がだ?大した事はないが…
!?何やら西洋の靴を袋から出しているぞ?”
「あの、これなら大丈夫なので歩いてもいいですか?もし急いだ方がいいなら走れます!」
“西洋の靴を持っているのか…ではそれなりの家柄か…やはり人攫いに遭ったのか…”
…ん?…
“む?今走れると言ったか!?浴衣でか!?
心配かけまいと言っているのか!?
よもやよもや…なんたる女子だ”
「そうか走れるか!だが浴衣姿の女子を走らせる訳にはいかないからな!ゆっくり歩いて行こう!だが辛くなったら遠慮なく言ってほしい」
「はい、その時はよろしくお願いします」
と素直な返事が聞けて安心した