第12章 責務を全うする
「失礼します、お久しぶりです」
そう言って前田さんが現れた
「前田くん!久しいな!今日はわざわざありがとう!」
そう言うと私と前田さんの間に入る
杏寿郎さんのその姿にクスリと笑う
前田さんの手には私の隊服があった
水の呼吸 壱ノ型を私が習得したので
杏寿郎さんが隊服を作ってくださるよう
お館様に掛け合ってくれたのだ
「こちらになります。採寸通りに作りましたので、大丈夫かと」
「ありがとうございます!早速着替えてきます」
そう言って自室に戻る
風呂敷包みを開けると、
ジャケットにブラウス
それから…スカート?
そして、膝丈のレギンスのようなものが
入っていた
あれ?私ズボンでお願いしていたはず…
そう思ったものの、着替えてみると
案外動きやすい格好になったので
そのまま広間へと行く
「着替えてきました!」
襖を開ける
「ゆあ、隊服も似合うな!こうしてみると、すっかりきみも鬼殺隊の一員だな!」
そう言って目を細める杏寿郎さんがいて
嬉しくなる
「前田さん、ありがとうございました!ズボンとお願いしていたような気もしたのですが、これで大丈夫です!」
そう伝えると
「それは良かったです!失礼します!」
なぜか慌てて帰る前田さんを疑問に思う
振り返ると青筋を立てている杏寿郎さんがいた
「やはり前田くんの趣味だったか…」
そんな杏寿郎さんをみて何故だか笑ってしまう
「ふふふ、杏寿郎さん、私のこの隊服姿嫌ですか?私はこれで良かったなと思っていますよ!」
「いや、似合っているからいいんだが、他のやつの目に触れるとなると…何だか複雑な気持ちだ!」