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The usual one【ヒロアカ中心】

第6章 ブルーベリー・ナイツ(切島鋭児郎)


 なんて、心の何処かで変な期待をした自分が馬鹿だった。
 
 私達の間には、何もなかった。

 何かの間違いで始まる恋なんて、とんでもない馬鹿の考える事だった。

 私は、さっさと事後処理をすると爆豪くんの部屋を後にした。


 「……はぁ……」

 適当に入ったカフェで、1人テーブルに突っ伏す。

 「お待たせしました、カフェオレでございます」
 と、店員さんが営業スマイルでカフェオレを置いて行ってくれた。

 私が今、あの店員さんだとしたらとてもじゃないけど営業スマイルすら作れないかも知れない。

 「くっそ……爆豪あいつ……マジで……」
 「爆豪がどうしたんだ?」
 独り言に返事をされて、思わず私は顔を上げた。
 そこにいたのは……

 「切、島くん……」
 切島くんが、テイクアウトと思われる紙袋を持って立っていた。
 「おめー、昨日すっげー酔ってたぞ?大丈夫か?二日酔いとか」
 「うん……何とか……」
 「でも、爆豪が車で来ててよかったな!あの後、どうしたんだ?」
 「え」

 ど、どう、って……

 さっきの事を思い出すと、ちょっとした怒りが込み上げてきた。
 もう、切島くんに爆豪の鬼畜の所業を話してしまおうか……なんて思っていると、切島くんが「でもよー」と言いながら顎に手を当てた。
 「爆豪さ、カノジョいるし?どうせ家まで送った後、おめーの事ほったらかして帰っちまったんだろ」

 まぁある意味、ほっとかれましたけど……

 もう、いいや。

 切島くんに、アイツの本性バラしたる!

 そんで何アイツってドン引きでもしてもらって、仲でも何でも悪くなるがいい!

 「切島くん、ここじゃちょっと、話せない話が……」
 「おっ、じゃぁウチ来るか?」
 「へっ?切島くん家、近くなの?」
 「おう。話位なら、幾らでも聞いてやっから!行くぞ」

 冷めかけたカフェオレを置き去りにして、私は切島くんの後を追いかけてカフェを出た。



 「で?話って何だ?ま、座って話そうぜ」
 ソファに腰掛けた切島くんが、隣をポンポンと叩きながら言った。
 お言葉に甘えて、隣に座る。
 「その……えっと……爆豪、くん、なんだけど……」
 「お!爆豪か……もしかして、昨日介抱してくれた、とかか?そんでうっかり好きになっちまったとか?」
 「んー……そんな、ドラマみたいなのじゃ、ない……」
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