第6章 ブルーベリー・ナイツ(切島鋭児郎)
ホント、そんなんじゃ……
「っじ、実は……」
爆豪くんが、と言いかけた所で思った。
いや……待てよ?
さっきは勢いでバラしたるとか思ったけど……
そんな事しても、私が虚しくなるだけなんじゃ……
うん。やめよ。やめやめ。
言うの、やめよ。
「甘井?」
「あ……ううん、やっぱ、何でもない!ごめん、忘れて……」
「んだぁ?……ヘンなヤツ!」
「うん、私変だったのかも……あんな事で、うっかり運命なんて、期待しかけるとかさ」
爆豪くんの悪口を言おうとしたのが一変、ただの私の愚痴になりつつあるような予感がした。
「運命?」
「そんで、あっさり裏切られてさ……何か、馬鹿みたいっていうか……」
「おい、甘井、何か話が見えてこねぇけど」
そう切島くんが言ったけど、私の愚痴は止まらなかった。
「よく分かんないけど、いっつもそう。私が、チョロい女に見えんのかな?ホントさぁ、馬鹿すぎて目も当てられない……」
視界が滲んで、自分が泣きそうなんだと悟る。
「甘井は、馬鹿じゃねーよ」
「……え……」
気付いたら、切島くんに抱きしめられていた。
「あ……あの、」
も、もしかしてこれって……
そんな事を思いかけた時、もう1人の私が牙をむいてきた。
いや、待て!
こんな、都合のいい展開なんてあるわけないし。
切島くんて、優しいから励ましてくれてるだけだって。
私の事好きなのかもとかもしかしたら運命かもとか、期待すんな!!
そうだった……
危うく、また騙されるところだった……
……と、自分の中で話を纏めたのに、顔を上げると目の前に切島くんの顔があった。
「き、切島く……」
「口、閉じとけ」
そう言われて、思わず口を閉じると当たり前のようにキスをされた。
あ……
これって、さっきの二の舞じゃ……
そう思うけど、優しい腕に抱きしめられて、何だか身体は絆されてしまうような……そんな気がした。
唇を解放されるまで、息をするのも忘れていた。
「……は……」
「その顔……やべぇだろ……」
「え?っきゃ!」
どうやら、切島くんのスイッチを押してしまったらしい。
ソファに押し倒されて、Tシャツをぐいっと捲られる。
「ちょ、待って!」
「無理だろ」