第1章 限定って言われると欲しくなる(ホークス)
そう言われて、手を離されるどころか、ぎゅうっとされて……どうすればいいか分からなくなって、涙が出そうになる。
もう、私の知ってるおにいさんはそこにはいなかった。
「ほ……ほんとにもう」
「ちゅーしていい?」
言葉を遮られて、もう、本当にキスしそうな距離まで顔を近づけられて……私に拒否権なんかないんじゃないかって思った。
ふんわりと、例のコーヒーの匂いが鼻を掠めたその時。
「っ!」
やっぱり、私に拒否権なんて存在しなかった。
私が彼の問いに答えるよりも早く、キスされていた。
唇、頬、首筋……優しく触れるだけのキスを何度もされて、自分の顔と身体がじんわり熱くなるのが分かった。
「お、おにいさ……」
「かーわいー」
「あっ」
耳元で話されて、身体がビクっと反応してしまった。
本当に、こんなのは恥ずかしくて今すぐおにいさんを突き飛ばして逃げ出したくなる。
でも、それが出来なくて彼を受け入れてる。
……なんで……?
私がそう疑問に思っている間も、キスは続く。
どんどん深く、食べられてしまうんじゃないかと思うようなキスになっていく。
「んっ、んぅ……っ、ふぅ……」
おにいさんは左腕で私の身体を抱いて、右手はすりすりと太腿を撫でてる。
怖い?
きもちいい?
……分かんない……
唇が離れると、まだ真剣な顔をしているおにいさんと目が合ってしまった。
その表情を見た瞬間、早かったはずの心臓の音が、余計に速くなった気がした。
「やば……止まんな……」
私の何かが、おにいさんのスイッチを入れてしまったらしい。
彼は、器用にはめていたグローブを取ると床に乱雑に投げ捨てた。
そして、一気に私のスカートの中に手を滑り込ませた。
「や、まっ……」
そこは……!
そこは、まだ誰にも触られた事がない、大事な所。
「あっ、そこ、おにい、さ……!」
ショーツ越しにそこに触れられて、思わず声が出てしまう。
「や、あ、んぁっ」
「気持ちいい?繭莉ちゃん」
「あ、っ……わ、かんな……」
だから、分からないの。
額におにいさんの熱い吐息が触れて、熱がうつったみたいにクラクラする。
私は、ついに床にへたりこんでしまった。