第5章 百合の子(緑谷出久)
私は、綺麗でいたいのに。
清廉潔白とまではいかなくても、綺麗な女の子と向き合えるように私だって綺麗でいたいの。
それなのに……
「っや……」
緑谷くんの肩を押すけど、私の力じゃビクともしない。
額に当たる、彼の吐息が荒くなっていくのが分かった。
「甘井さん……」
そんな、切なそうな声で名前なんて呼ばないで。
嫌なのに、何も、考えられなくなっちゃう……
「ホントに、離し……あっ!?」
いきなり服の上から大事な所をなぞられて、びくっと身体が反応してしまった。
「甘井さん、もしかして感じやすい?まだ、服の上からなのに」
「やだっ、そんな、の、知らないっ!」
緑谷くんの手が、ショートパンツの中に入って来て、ぞくっと肌が粟立つ。
「あっ、やだ、手、抜いて……!」
「さっきから言ってるけど、嫌なら逃げて。……何で、僕にされるがままなの?」
「そ、それ、は……」
分からなかった。
このままじゃ汚れてしまうのに、私は緑谷くんを受け入れようとしてる。
もう、自分の事がよく分からない。
答えが見つからなくて戸惑っている間も、緑谷くんの手はショーツの中にまで入って来て、私の敏感な蕾を人差し指でツンツンと刺激してくる。
「やっ、あ、み、どりやく……やだぁ……っ……」
「甘井さんの声、可愛い……僕、もう無理だよ」
そう言った緑谷くんの指の先端が、秘所にくちゅ、と押し付けられた。
「っあ……!」
どうしよう。
はいっちゃう……!
そう、思った瞬間だった。
「誰か、いるん?」
その声と共に、共同スペースの灯りがパッと点く。
緑谷くんは、慌てて私から身体を離した。
「……あ……」
今の声……
まさか。
「あれ?あぁ、吃驚した!爆豪くんも来とったん?今日、暑いもんねぇ!」
「っせぇな、丸顔。暑いとか、ねェわ」
「爆豪くん、今、私達以外に誰かの声、聞こえんかった?」
お茶子ちゃんと……爆豪くん!?
やだ、こんな所お茶子ちゃんに見られたら……!
私は急いで立ち上がった。
「お、お茶子ちゃん」
「あれ、甘井ちゃん!あんな暗い中におったん?目、悪くするよ!」
「う、うん……だいじょ、ぶ……」
どうしても、言葉に詰まってしまう。