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The usual one【ヒロアカ中心】

第4章 Erode(ホークス)


 「もう一度付き合って!俺……っ、亜寿佳じゃないと……グスッ」
 「蓮くん、好き!」

 2人は、抱き合いながら夜の街に消えて行った。

 ……あれ?何これ。
 安っぽいドラマでも、見せられてる?

 「目良さん……何だったんスかね、今の……」
 「僕に聞かないでくださいよ……それより」

 目良が、蓮とやらが座り込んでいた場所を指差す。

 「あれ、ぱっきーじゃないですか?」
 「え」

 視線に気づいたのか、その女性がこちらに振り向いた。

 「あ……」

 繭莉。

 彼女は、驚いた顔をしていた。

 繭莉とは、あれ以来会っていなかった。
 偶然会う事もなかった。

 「ホークスさん……目良さんも、お久しぶりです」

 そう言いながら、頭を下げられる。

 「ぱっきーが、あの蓮くん……でしたっけ、介抱してあげてたんですねぇ」
 「何だったんですかね、あの展開。安いドラマでも見てるのかと思いました」

 笑いながらそう言うけれど、やっぱりその笑顔は相変わらず寂しそうだ。

 「まぁ……頑張ってください、ホークス」

 そう言った目良が、ホークスの肩にぽんと手を置くと、行ってしまった。

 もしかしたら、長い付き合いだから言わなくても目良は気付いていたのかも知れない。

 ホークスの、気持ちに。

 「マジで、何だったんスかね……」
 「でも、良かったじゃないですか。元通りになって」
 「まぁ……そっか」

 ホークスの横まで歩いてきた繭莉が、夜の街を眺めていた。

 その横顔が、相変わらず綺麗だと思った。

 「あの……ホークスさん」
 「ん?何?」
 「私、ずっと……会いたかったです、ホークスさんに」

 突然そう言われて、驚いた。
 妙な期待に、胸が高鳴ってしまう。

 「前に、言ってくれましたよね。私がいつか、笑ったら……それでいいって」
 「うん。言ったね」
 「私……もしかしたらあなたの横に居たら、嘘偽りなく笑えるかもしれない……なんて、思っちゃって」

 繭莉が、ふっと微笑んだ。

 「圭吾の事、いい加減手放してあげようかなって。忘れないように、忘れようと思って」
 「それって……」

 「好きになってしまったかもしれません……啓悟さんの事」

 何だか、ドラマでも見ているような気になってしまった。
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