第4章 Erode(ホークス)
「あ……でも、分からないんです……この気持ちが、恋の好きなのか、何なのか……だから、こんな気持ちでこんな事言うのもどうかなって、思ったんですけど……」
そう言う繭莉を、夢中で抱きしめていた。
「いいよ、それでも」
「でも、それじゃ……」
「いいから」
繭莉、俺さ……
「利用していいよって、言ったでしょ」
慣れてるから、利用されるの。
「それできみが、笑えるなら……いいんだ」
「啓悟、さん……」
もう、ここが街中だとか誰かが見てるとか、そんな事はどうでもよかった。
まだ、戸惑っている繭莉の額にキスをした。
それだけで、顔を真っ赤に染めているからもう、どうにかしてやりたくなってしまう。
そっと、頬に触れる。
「今夜、このまま帰したくないかな」
「そ、それって……」
「意味、分かるでしょ」
繭莉が、真っ赤な顔で頷いた。
「じゃあ……行こ」
彼女を、自分の家に連れてきていた。
本当は近くのラブホにでも連れ込んで繭莉の気がどうにかなるまで抱き潰したかったけれど、そんな勢いと若さは流石に持ち合わせていない。
玄関で、まだもじもじする繭莉をひょいっと横抱きにすると、「ひゃっ」と小さな悲鳴を上げられてしまう。
「嫌だった?」
「あの、えっと……大丈、夫、です……」
それにしても……
ほっそいな……何か、無理な体勢させたら折れちゃいそ……
などと、邪な事ばかり考えてしまう自分に馬鹿じゃないかとツッコミを入れたくなる。
「でも、啓悟さん、わ、わたしあの……」
「何?」
「私っ……まだ、その……した事、なくって……あの……」
まさかの、初めて。
……いや、前に俺が、奪っちゃったんだけど……
という事は、彼とはしてなかったって事か。
何か……
「繭莉の処女、奪えるとか最高」
「っ!」
繭莉は相変わらず真っ赤な顔で、目にはうっすら涙も溜まっている。
「あんま、可愛い顔しないでよ。ホント、どうにかしたくなっちゃうから」
「……て……」
「ん?」
「啓悟さんのっ、好きにして、ください……っ……」
そんな事をそんな顔で言われたら……!
理性なんて、完璧に吹き飛んだ。