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The usual one【ヒロアカ中心】

第4章 Erode(ホークス)


 「お前……この記事、読んだか?」
 「記事?」
 「ああ……まぁ、結構前のネットニュースの記事だから、真偽の程は分かんねぇけどな」

 そう言って、ホークスにタブレットを渡す。

 「その、一番下のやつな」
 「一番、下……」

 言われた所に目を落とすと、『ぱっきーの恋人、死亡説』などという何とも下世話な煽りの記事が載っていた。
 どんどんその記事をスクロールしていく。

 「……な……」

 その記事の中身はいたってシンプル。

 ぱっきーには、恋人がいた。

 しかし、3年前に交通事故で他界。

 他にも色々面白おかしく書かれていたが、そんなものはどうでもよかった。

 「これって、マジっスかね?」
 「さぁ、知らねぇ」

 3年前……

 3年前に起こった交通事故を、片っ端から検索していく。
 すると、1つの記事が目に入った。

 『高速道路の玉突き事故で軽自動車の助手席に乗っていた17歳の男性が死亡』

 17歳、3年前。

 ぱっきーと同じ歳なら、この事故の当事者なのでは……

 「名前……」

 どんどん記事をスクロールすると、亡くなった男性の名前が記載されていた。

 鷹木 圭吾さん(17)

 たかぎ、けいご……

 けいごって……

 「そうだ、あの本……」

 今度は、検索エンジンに『親愛なるあなたへ 発売日』と入力してみる。

 ホークスは、思わず口元を手で押さえた。

 その本は、3年前に発売されていた。

 「……先輩、全部分かりました」

 あの、本を読んでいた時の表情。
 どこか悲しそうな笑顔。
 あの時、知らないのに自分の名前を呼んだ事。

 そういう事だったのか。

 きっとあの本は、彼が読んでいた本なのかもしれない。

 ずっと、あの子は彼との思い出の中に生きている。

 呼んでいたのは俺じゃなくて、彼の名前だったんだ。

 こんな事、ある?

 ホント……

 「……地獄……スわ……」
 「知りたくて調べたのに地獄……ってか。まぁしょうがねぇ。向き合うしか、ねぇんだからよ」
 
 それ以上、2人とも何も言える言葉が見つからず、ただ、部屋には沈黙が流れるだけだった。
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