第3章 ナチュラルスキンシップ(爆豪勝己)
「終わったのか」
事後処理を終えて保健室のドアを開けると、そこには相澤消太が仁王立ちしていた。
「な、何がですか?」
繭莉が焦りつつそう聞くと、相澤ははぁと息を吐いた。
「お前ら俺でよかったな」
「だから、何がですか……!」
「シラを切るのもいいが……甘井、お前は俺の授業をサボった罪だ。反省文でも書いとけ。それと爆豪」
「あぁ?」
「不謹慎だ」
不謹慎!
まさか、同じ日に2回言われるとは。
「昨日の反省文がまだだったな。倍書いて提出しろ」
こンの教師、聞き耳立てとったんか!
お前の方が不謹慎だろが!
恨めしさ満タンで相澤を見ると、またはぁと息を吐かれる。
「ここは学校で、学生の本分は勉強だ。覚えとけ。ここはラブホじゃない、次見つけたら除籍にするぞ」
本日2度目の、凄む相澤。
きっと、2人を心配して追いかけたらこんな事態に遭遇したのだろう……何だかんだで、やっぱり生徒に甘いらしい。
だからって、デバガメじみた事は良くない。
「分かったらさっさと教室に戻って授業を受けろ。分かったな」
それだけ言って相澤は去って行った。
「あ、相澤先生……何か、もう顔見れない……っ……」
顔を真っ赤にして呟く繭莉
「適当にそれっぽい事言ってるだけだろ。……それよりお前」
「え?」
「もう、他の男にベタベタ触んじゃねぇぞ!わぁったな!」
「え?」
……
まさか。
繭莉はお気づきではなかった。
無意識で触っていたんだろうか。
それは……いやいや。
「や、それは、その、だってどいて欲しい時とか、あるでしょ……」
「触んなくていんだよ!言やいいんだよ、言やぁよ!」
「爆豪くん、それってやきもち……」
そう言われて、顔が一気に熱くなる。
「ンだよ……悪ィかよ」
ばつが悪くなってそっぽを向くと、繭莉が顔を覗き込んできた。
「爆豪くんって、そういう人だったんだ~、面白!」
「っせえ!笑ってんじゃねぇよ!」
「あはは、まぁいっか、教室行こ!」
「……しゃーねぇな……」
うん、まぁ……恋愛事情を勝手に覗き見といてなんだけど……
よかったな、勝己。
おわり